私は、前職ではラクーン(現ラクーンホールディングス)に創業メンバーとして入り、副社長として一部上場まで経験しています。
私の起業家としての人生はそのラクーン副社長を退任することからスタートしています。
18年ほぼ経営メンバーとして参画した会社。だからこそ、ラクーンを退任すると発表したとき、色々な人から「なんでやめるんですか?」という声をいただきましたし、今でも聞かれます。
なぜ大好きなラクーンをやめ、創業するのか。
これは、退任時にラクーンのスタッフにあてた社内ブログです。
その内容をそのまま公開します。ちょっと長文。
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私が退任する理由 ラクーン役員・社員のみんなへ
お伝えしている通り石井俊之は、7月28日の株主総会で任期満了により取締役副社長を退任します。
全体会議時にご挨拶はさせてもらいますが、その場では伝えきれないことも多いので、社内ブログに掲載させていただきました。 2000年に入社し18年間になります。複数の方から石井さんが辞めるとは思っていなかったという声もいただきました。なので、今までを振り返りつつ、改めて理由をお話ししたいと思います。
■なぜラクーンの入社したのか?
私は新卒で住宅メーカーに入社し、営業職をしていました。とてもいい会社でしたし、仕事も充実していました。 ただ、
1.1万人規模の会社で自分の存在価値があまりに薄い
2.ある程度の年功序列で、課長・部長になる年齢など自分の将来が見えてしまった
あたりが、心に引っかかっておりました。 正直、どうしても入りたかった会社ではありません。就職氷河期だったし、親を安心させるためにも知名度のあるところに入れればぐらいで決めてしまいました。
今考えると非常にもったいなかったなと思います。
そんな中、入社後2年目のお正月休みの時に転機となる出来事がありました。 ベンチャー企業の特集をTVでやっており、 ・ベンチャー企業という存在 ・自分とたいして変わらない年齢のベンチャー企業の社長が生まれているという事実 ・ベンチャーのスタッフが、自分が社会を変え、会社を動かしていくという気持ちで生き生きと働いていること に衝撃を受けました。 それと同時に、「早くベンチャー業界に飛び込まないと、この人たちに負ける」と強烈な焦りを感じたのを覚えています。お正月休み明けすぐに会社に辞表を提出しました。
いずれ起業をする前提で、一番良質な経験できるところに転職する。
ラクーンに入社したのも社員がまだ誰もいないぐらい小さかったことが一番の理由です。任される範囲が必然的に大きくなるだろうと。
ただ、面接のときに小方さん(ラクーン創業者)の熱量に圧倒されたのも事実です。 面接のときに私が話したことはほとんど覚えていません。9割以上小方さんが話していたと記憶しています・・・。
■ラクーンに入ってから最初の仕事
ラクーンに入社したときは東京都狛江の小さなオフィスでした。ただ、増資すること、そして数週間後に渋谷に移転することが決まっていました。 あるとき小方さんが「増資したから記者会見する!」と言いました。そしてその準備が私の最初の仕事となりました。 記者会見なんて芸能人の結婚式か、超大手企業の新商品発表ぐらいしかイメージがなかったので、本音では「何言ってんだろう?」と思いましたが、まだサラリーマン習性が抜けていなかったので意見も言わず、着々と準備をしました。 結果は・・・・、『来場者ゼロ!』
ただ、不思議と気持ちはすがすがしかった。 小方さんの「こんなこともあるよね、片づけよっか。」という言葉が、不思議とかっこよかった。入社早々に社長自ら失敗する姿、失敗にくじけない姿を見て、本当にベンチャーに来たんだなと実感を持った出来事でした。 上場したり、黒字化したりいろいろ楽しかったことがありました。ただ、一番インパクトのに残ったのどれと言われれば、この幻の記者会見です。失敗してもいいから恐れないで進むというのを最初に叩き込まれました。
■たくさんの経験
その後、たくさんの経験をさせていただきました。 営業・マーケティング・カスタマーサポート・倉庫運営などなど。
どちらかというと何か強烈なスキルがあり専門的に何かを任されるというより、何でも屋といった役割でした。おそらく今のところ、ラクーン内での異動経歴・役職歴は一番多いと思います。26歳から部長になり、責任者としても事業も任されるようになりました。オンライン激安問屋・SuperDelivery・Paid・トラスト&グロース。
振り返ってみても、すべて「運」と「出会い」と「仲間」に恵まれたなと。
自信を持って事業運営しているように見えるかも知れません。組織をドライブする上では、リーダーの立ち振る舞いが重要なので。
ただ、私自身は小心者だと自覚しています。
今野さんや羽山さん、以前いた同学年のISAK小林りんは、本当にスペシャルワンな人です。
その人たちに比べるといつも自分の「実力不足」を感じます。自分は管理職としてもリーダーとしても経営者としても未熟ですし、そもそも適性があると思っていません。ただ、臆病な分、人より勉強し、細部まで徹底的に考え、覚悟を持って意思決定をしてきました。要は「努力」です。この「人より何か劣っている感覚」「何か足りないという感覚」というのは、自分の中では成長の原資だと思っています。
私はふつうの人です。結果の世界なので、努力とか語るのは好きではないですが、ふつうの人間でもここまでできると思っていただければいいかなと思います。
■私が退任する理由
前述の通り、ラクーンに入社したときはいずれ起業するつもりでした。
でも、自分の成長が楽しく、会社が成長していくのが楽しく結局18年いました。
もちろん、ラクーンをより一層発展させていくことは非常に魅力的な仕事です。ラクーンの体力や一部上場という信頼性を考えても今までできなかったことが、より一層実現しやすい環境が整ってきています。
ただ、入社当初の起業したいという思いをずっと秘めていたというのも事実です。
同世代であるラクーンを卒業したISAKの小林りんやローカルワークスの清水、ローンディールの原田の活躍からもいつも刺激を受けていました。
自分にとって東証一部上場というのは一つの区切りでした。
その区切りで自分の人生を再度考えた時に、
いままでの良い経験も悪い経験もすべて糧にして、スクラッチベースで会社を作ってみたいという気持ちが非常に強く、独立させていただくことになりました。
「オンライン激安問屋」「SUPERDELIVERY」の事業責任者、「Paid」のイントレプレナー、「トラスト&グロース」のM&Aした会社の社長。
それぞれで違った経験をさせてもらいました。経験しないとわからなかったことが多いです。
「創業社長」も一緒。きっと新しい経験ができ、さらに成長できると思っています。
今回のことは突然かと思われるかも知れません。ただ、最初に独立したいと小方さんに話したのは、東証一部上場数日後のことです。その後小方さん(社長)や今野さん(管理担当副社長)と相談し、2年かけて色々準備していこうと話をしていました。経営陣にとっては退任後の体制も含めてしっかり準備ができたと思っています。私も全く不安はないです。
■ラクーンをよろしく
ある人から、「一部上場企業の副社長の肩書き捨てるのってもったいない」と言われました。私は全く思っていません。肩書きより重要なのは良質な経験をしたかどうか。ラクーンの経営者の考え方(収入と安定)をご覧ください。
また、「何の事業をするの?」とほぼ全員から言われましたが、それ決まっていません。あまり器用ではないので、ラクーンにいる間は、ラクーンのことだけを考え、退任後に自分の事業を考えます。
事業の立ち上げには焦ってはいません。
長いことラクーンで集中していたので、視野が狭くなっていると実感しています。しばらくは充電しつつ、視野を広げる活動をしていきたいと思っています。
私は、新しい道を進んでいきます。
私が創業社長に向いているのかどうかというと答えはNoです。
ただ、ラクーンという会社をマザーズ・一部上場へと執行の責任者として導いたこと、
そして
「オンライン激安問屋」という創業サービスを黒字化し、
「SUPERDELIVERY」を主力事業に育て、
「Paid」をイントレプレナーとして一から立ち上げ、軌道に乗せ、
「トラスト&グロース」でM&Aした会社の社長として事業を拡大し、URIHOという将来の芽を植えた
ことには、大きな自信と誇りをもっています。
そして前述の「何か足りない」という感覚をひとつずつ埋めていけば、きっと素晴らしい会社が作れるだろうと自分自身期待しています。
ラクーンは11月よりホールディング化します。
ギアを入れ替えてさらに加速していきます。
ラクーンは、より専門性を持ってマネージメントし、成長に向けての新しい挑戦をさらにしていかなければならないステージだと思っています。
ボードメンバー、執行を担う事業会社社長、監査委員を信頼していますし、優秀なスタッフであるみんなが力を合わせれば、さらなる飛躍をしていけると確信しています。
ラクーンの変化を楽しみ、新しい挑戦に前のめりで付き合ってください!
古巣のラクーンは、ずーっとイケてる会社でいてほしい!
みんなが充実した顔でラクーンの近況を嬉しそうに語ってくれる日を楽しみにしています!
創業メンバー募集中
私がラクーンで経験した創業メンバーとしての経験や会社と一緒に自分が成長する経験を、今度は「ビズパで」皆さんと経験したい!
一緒に会社もサービスも創っていきましょう!
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